Uber日本第1号社員が語る「移動と仕事と未来の話」
こんにちは、ゼロイチCafeスタッフの小松です!
今回は Uber の日本第1号社員であり、ゼロイチCafeを運営している株式会社ライトマークスの代表取締役である殿崎俊太郎さんに、移動と仕事についてお話し頂いた内容をレポートしていきます。
時代を騒がせ、世界中の都市交通のあり方を変えているライドシェアのビジネスモデルは何がそんなにすごいのか?それに関連して仕事のあり方はどう変化していくのか?などについて語っていただきました。

講師 殿崎 俊太郎
株式会社ライトマークス 代表取締役
1986年生まれ、東京・横浜・米コネチカット州育ち。 慶應大学理工学部情報工学科卒業、同大学院修士課程修了。
在学中にソフトウェア開発の個人事業を開業後、法人化に伴い、研究室仲間の堀江と株式会社ライトマークス設立。 ゴールドマン・サックス社テクノロジー部を経て、Uber Japan 社第1号社員として事業の立ち上げと拡大、収益性改善を牽引。2018年、ライトマークス代表取締役就任。
目次
「移動と未来」
ライドシェアとは
近年、ライドシェアと呼ばれる仕組みが世界中で爆発的に普及してきています。まずは簡単にライドシェアのビジネスモデルについておさらいから始めましょう。

上記の図で表されるのがライドシェアの仕組みになります。国によって規制等が異なりますが、海外の多くの国では、運転免許と車を持っていて、また事故歴や犯罪歴などがなければ誰でもドライバーとして登録でき、その日から収入を得ることができる仕組みとなっています。日本ではこの意味でのライドシェアはまだ成立していません。海外では、地上交通の80%をライドシェアが占めているというデータもあるそうで、非常に普及していると言えます。
ダイナミックプライシングとは
ライドシェアの特徴としてまず一つ目に挙げられるのがダイナミックプライシングです。これは需要と供給で値段を変動させるというもので、飛行機やホテルが時期によって値段が変動する事は皆様にとってもおなじみですよね。最近では、スポーツなどのチケットの値段設定でも取り入れ始めています。従来のタクシーは距離に応じた値段となっていたのに対し、リアルタイムの需要と供給も加味した値段にしていく仕組みがライドシェアには取り入れられているといえます。

もう少し詳細について考えてみましょう。ライドシェアにおけるダイナミックプライシングは、エリアによっても、また時間帯によってもその金額が変動します。
エリアごとに金額を計算するため、ドライバー(供給)はより金額の高くなっているエリアに行こうとします。このようにして、地理的な需給バランスの偏りが調整されていきます。時間軸でも同様に、ドライバーの少ない時間、例えば金曜の夜などに金額が上がりやすく、ドライバーが多く稼げる機会となります。そして慢性的にドライバーが不足している状況では、料金が高い状態が続くため、新規にドライバーになる人が増加し、ドライバーの総量も増加するという仕組みです。
ユーザー側ではドライバー(供給)が十分にあるエリア・時間では従来の移動手段よりも安い料金で移動できたり、どこで呼んでもすぐ車がくるというメリットを得ることができます。このように料金の上げ下げで需要と供給を最適化し、新しい価値を提供するのがライドシェアの強みです。

ライドシェアがもらたす未来
96%と38.1億時間
96%、この数字は何だとおもいますか?実はこの数字、世界にある車のうち、駐車場等に停止している車の割合だそうです。言い方を変えると、車は4%の時間だけ稼働していて、96%の時間は停まっている、とうことです。人生において、家の次に高い買い物とも言える車が、ほとんどの時間眠っていると考えるととても勿体ないですよね。
そして38.1億時間。これは年間で、日本における渋滞で無駄にされる時間の合計だそうです。日本では一人一月あたりざっと3時間渋滞待ちをしている計算になります。
これらの無駄を解消すべく過剰な車の保有をなくし、必要なときに車をシェアして利用するというのがライドシェアのもたらす未来です。そしてその延長線上に自動運転があり、自動車のあり方や利用の仕方そのものを変えようとしています。
その未来を実現する一環として行われているのが以下のような取り組みになります。
相乗り(UberPOOLなど)
日本では展開されていませんが、海外では普及している相乗りのビジネスモデルです。ユーザーが乗車リクエストを行うとリアルタイムで配車する車とピックアップのルートの決定が行われます。「バス並」とも言える低料金で、オンデマンドかつドアツードアで移動できる仕組みです。
このサービスは相乗りという特徴からユーザーとドライバー双方にメリットの出る仕組みになっています。利用するユーザーはバスと変わらないような安価で利用でき、ドライバーは絶えず乗客が乗ってくるので無駄な走行を減らすことができます。Uber などのプラットフォームにとっても、ドライバーが継続的にプラットフォーム上にいてくれるというメリットがありそうです。
日本でも早く、このような仕組みが使えるようになると良いですね!
移動の安心の提供
車をシェアする上で、自分のものではない車に乗ることになるので安全の確保が重要なります。これらについてもライドシェアはタクシーにはない以下のような仕組みがあります。
- アプリに目的地を入力した時点でおおよその値段が表示される
- 緊急時に対応してくれるカスタマーサポートや保険が存在する
- 目的地がドライバーにも伝わっているため、旅行で言葉が通じない国でも便利に利用することができる
- ユーザーがドライバーを評価できるため長期的にみるとドライバーの質も担保される
自動運転
事故率の減少などに期待の高い自動運転。万一事故が発生した時の責任の所在など倫理的な問題がありますが、アプリで配車できる車を社会全体でシェアリングする未来に向けて、期待が高まりますね。
おすすめ動画その1
こちらが殿崎さんがお勧めする Uber の創業者 Travis Kalanick 氏が語る動画です。Travis 氏が当時描いていたビジョンを知ることができます。

「仕事の未来」
Uber や Uber Eats ができたことによる効果として人々の働き方の自由度が高まったということが挙げられます。自分で起業したり何かはじめする際の副収入として確保できるからです。このようにいつでも好きな時に好きなだけ働ける仕組みは、とても素敵でこれからも増えて欲しい仕組みですね。また、海外ではお金が原因で高等教育を受けらなかった人が、大学に行きながら Uber で学費を稼ぐ、などといった使われ方もしているそうです。
やりたいことをやるべきである
そして殿崎さんが伝えたいことは、自分が下記の三つにそれぞれどれくらい時間を使っているか認識して欲しいということでした。
- やらなきゃいけないこと
- やるべきこと
- やりたいこと(=ワクワクすること)
スティーブ・ジョブズも毎朝その日にやろうとしていることが自分にとって本当にやりたいことなのか自分に問いかけ、何日か No が続けば何かを変えなければならない、という格言を残しています。
殿崎さん自身、中学校の頃にプログラミングに没頭して気付いたら朝になっているというような経験が今の仕事やキャリアにつながっていると実感しているそうです。そのため自分の「やりたいこと」に「真面目に向き合うこと」が自分にとっても、周りの人や世の中にとっても最も価値があると述べていました。
そして向き合った結果仕事になるかどうかは結果論としてしか決まらないから悩むべきではないともおっしゃっていました。Connecting the dots と呼ばれるジョブズの有名な考え方があり、これはその強みが後々活きるかどうかは後になってからしかわからないから今はただ信じてやるべきだという考え方です。
やれない理由をつぶす
いざやりたいことをやろうとしても、真面目に向き合おうとすると様々なハードルが待ち受けます。主な理由は下記のようなものです。
- 時間がない
- お金がない
- 家族がいるからリスクを取れない
- 今からでは遅い
しかしこれらの理由は、徹底的に考えれば乗り越えられるものがほとんどです。時間がなければやることの優先度を整理する。お金がなければ資金調達などの方法を考える。やれない理由を前に思考停止せずに、ワクワクすることを大切にするべきだと殿崎さんは言います。
オススメ動画その2
こちらは機械による自動化が進んだ未来において人間の仕事はどうなるのか、危機感を感じさせてくれる動画です。
まとめ
今後人間の仕事はより自動化が進み、様々な仕事がなくなっていくことは明らかです。そうなれば自分の好きなことを突き詰めて、代替の難しい能力や経験を身につけていることの価値が高まります。そして同時に自分の好きなことを突き詰めていくリスクも軽減してきています。Uber のようないつでもどこでも働くことのできる仕組みが増えてきているからです。以上のことを踏まえ皆さんも明日の朝、あるいは今すぐにでも自分はやりたいことをやっているのか、自分に問いかけてみて下さい!


執筆者
慶應義塾大学4年 小松祥也
大学ではソフトウェア工学を学んでいます。ゼロイチCafeに来てくれた方の交流を活発にしてより深く学べる環境づくりをしていきたいと思います。
ゼロイチCafeの勉強会イベントに参加しませんか?
ゼロイチCafeでは定期的に勉強会イベントを開催しています。学生ならどなたでも参加できるので気軽にお申し込みください!