大企業も経験しベンチャー企業の立上げも経験された河合さん。そんな河合さんが思う、キャリア形成のあるべきカタチとは。10月8日にゼロイチCafeで同氏を講師として行われた勉強会「大企業か、ベンチャーか」の内容を元に、ゼロイチCafeの新人スタッフ、豊田玲奈がお伝えします!

講師河合 聡一郎

株式会社ReBoost 代表取締役

法政大学卒業後、東証一部の印刷機械メーカー入社。 リクルート HR マーケティング(現リクルートジョブズ)にてメディア営業、パートナー企業の育成 PJT を担当。 その後、株式会社ビズリーチの立ち上げに携わり、セールスフォース・ドットコム、コニカミノルタを経て、ラクスル株式会社に創業メンバーとして参画。 人事マネージャーとして、組織設計から人材採用、人事企画も一部担当

同時に複数社のITスタートアップの創業、個人での出資を含めた社外アドバイザーも兼務し、ハンズオン型での人事支援を通じ、複数社のIPOにも貢献。 

2017年、株式会社ReBoostを創業。代表取締役就任。スタートアップを中心に採用/組織人事コンサルティング、出資を通じた世の中の変革を支援。

大企業も経験しベンチャー企業の立上げも経験された河合さん。そんな河合さんが思う、キャリア形成のあるべきカタチとは。10月8日にゼロイチ Cafe で同氏を講師として行われた勉強会「大企業か、ベンチャーか」の内容を元に、ゼロイチCafeスタッフ、豊田玲奈がお伝えします!

目次
  1. 自分のキャリアの中で気づいた「選択肢を広げるための物差し」
  2. 大企業とベンチャーの違いとは?
  3. キャリアづくりで大切な「三つの掛け算」
  4. 活躍できる人の6つの要素
  5. 「社外の繋がりを作ったほうがいい」

1. 自分のキャリアの中で気づいた「選択肢を広げるための物差し」

河合さん「起業を視野に入れた人がこんなにいるんだね。」

河合さんは、大企業の経験も、ベンチャー企業の立上げの経験も積んだ、多彩な経歴を持つ方です。東証一部の印刷機械メーカーからリクルートグループに転職し、ビズリーチの立ち上げや外資系 IT 企業を経て、ラクスルにも創業メンバーとして参画されました。また、数多くのベンチャー企業の組織人事アドバイザーや個人投資家としても活躍されてきています。

人事・キャリアの領域ではエキスパートとも言える河合さんですが、ご本人も「当初は80年続く印刷機械商社の家業を継ぐことが目標でそれ以外の選択肢を考えていなかった。」と語りました。

河合さん曰く、会社選びには会社をはかる物差しを持つことが必要です。海外で働きたいか、年収は高い方がいいのか、逆に年収にこだわりないのか――そしてそれは「なぜ」なのか。

河合さん「一番もったいないことは『その選択肢は知らなかった』ということ」

ではその物差しとは具体的になんでしょうか。

そもそも「大企業かベンチャーかは良く議論されていますが、色々な定義によってとらえ方自体が違ってくる」と河合さんは言います。視点が異なれば同じ会社でも人によって大企業かベンチャーか感じ方が異なります。例えば、同じ会社でも人数規模で大企業と感じる人もいれば、業種の新しさからベンチャー企業と感じる人もいます。人によってどの視点を重視するかが変わってくるため、捉え方も異なってきますね。

河合さんは「自分なりの定義を持つこと=自分がどのように感じるか?なぜそう感じるか?が大事」とまとめました。「自分の中で定義を持つ」ことは「何をもって大企業・ベンチャー企業とみなすか」を自分で決めることです。大企業、ベンチャーという単語に決してとらわれず、この自分で決めた会社の定義が会社選びの物差しに繋がってくるんですね。

それでは河合さんの考える大企業とベンチャーの違いとはなんでしょうか。

2. 大企業とベンチャーの違いとは?

良く言われる議論ですが、今回、河合さんはベンチャー企業を「世の中にまだない仕組みやサービスを短期間で一気に創り上げたり、新しいことに挑戦し続けている企業」と定義しました。続けてベンチャー企業と大企業の採用基準の違いを説明しました。ここでざっくりまとめると、ベンチャー企業は早く立ち上がってほしいので「これまで」を評価し、大企業は「これから」を見据えたポテンシャル採用を軸に考えるそうです。

新卒採用と言う観点で、肝心の大企業とベンチャー企業の違いはズバリ、

河合さん「待遇や人へのキャリアの時間軸の捉え方が違う。」

つまり、大企業は入社してから様々なポジションを経験し、時間をかけて人材育成するため昇給もゆっくりですが、ベンチャー企業はすぐに仕事を任されるので打席に早く立つことができ、給料も能力によって大きく変化するそうです。

河合さんがベンチャー企業についてもう一つ強調したことがあります。

河合さん「ベンチャーはどのタイミングで入るかで全然違う」

創業まもない段階、急成長期、安定した成長期の3つのフェーズに分けてその時入るとどんな状況になるのか・どこが大企業と明確に違うのかなどを説明しました。例えば、会社立ち上げのスタートアップの時に入ると、色んなことに挑戦できるが給与も不安定で事業展開も定まってないため様々な試行錯誤が特に求められたり大変、なんてことも有り得るのです。

3. キャリアづくりで大切な「三つの掛け算」

働きがいがある職場、自分の専門性を身につけられる職場、いわゆる「成長できる職場」にはある3つの共通点があると河合さんは語ります。それはなんでしょうか。

参加者からはこんな声が「若手が活躍できるか」「自分が面白いと思えるか」「フィードバックをもらえる」

河合さん 「どの視点も正しい。じゃあそれはどういう”環境”かな?」

河合さんがまず1つ目にあげたのは「成長している業界かどうか」です。2つ目は、1つ目とも関連し、「打席に沢山立たせてもらえるか」。成長できる会社でないと活躍の機会は少なく、新人なら尚更です。新人のうちからチャンスを多くもらえることに越したことはありませんよね。3つ目は「多様で優秀な人材がいるか」。色んな人の価値観や考え方に触れるのが重要だと河合さんは語ります。

河合さん「この三つの掛け算が重要」

これは1つでも欠けると働きがいがある職場とは言えないということです。例えば「打席に沢山立たせてもらえるか」が欠けていると、社会人2〜3年目によくある隣の芝生が青い現象が起きます。仕事内容や会社のブランドではなく「あいつあんなに活躍してるのになあ」と羨ましく感じると言います。なんだか現実味がありますね。

次に河合さんが新卒や中途面接に携わる中で一番聞かれる質問を掘り下げてきます。

「会社ってどうやって選べばいいのか?」

ここで河合さんはいくつかの会社選びの軸を紹介しました。「事業内容」や「勤務地」や「働く人」などなど。これらの要素も人によって優先順位が異なります。河合さんご自身は意外かもしれませんが、新卒の就職活動の時は、家業を継ぐことを中心に考えていて、「勤務地」と「働く人」が重要だったそう。

「ガツガツ働くといった雰囲気でない会社の方がいい」

「仕事の内容はこだわりないけど勤務地は絶対東京がいい」

「新人は早起き厳守でも絶対規模のでかい大企業に行きたい」

色んなパターンが考えられますね。この軸をもち、どれがどうして重要なのか・重要じゃないのかを大切にするべきだそうです。

4. 活躍できる人の6つの要素

活躍できる人の特徴、働く上で大事なこと、それにも6つの要素があると語ります。「学習能力」、「曖昧耐性」、「達成意欲」、「変化適応力」、「遂行力」と「人間関係構築力」です。これらのうち会社によってどれが一番求められるかは異なるそうです。ここでいくつか例をあげると、コンサルティング会社などはは創造性が求められるので「学習能力」が大事だったり、大規模な日系事業会社の新人は上がいるのであまり「遂行能力」を気にしなくて済んだり、オーナー企業だと戦略の方向性が変化しやるいため「曖昧耐性」が必要だったり…。6つの要素はベンチャー企業の働き方と大企業の働き方どちらにも共通します。

5.「社外の繋がりを作ったほうがいい」

最後に働く上で重要なライフハックを教えてくださいました。

河合さん「たくさん社外の繋がりを作った方がいい」

会社の常識が社会の常識かどうか、会社の進め方は社外の人からどう見えるのかを知ることは重要だと河合さんは語ります。小さな世界にとらわれなくなり、立体的に自分自身を見ることができるとか。将来の選択肢を知る多様な情報を得ることによって、将来の選択肢を知るきっかけにもなります。何より、フラットな社外の同世代は刺激にもなるそうですし、加えて自分の市場価値を客観的に見極めることができるそうです。

以上で河合さんの勉強会は終わりです。その後、様々な質問応答があったので面白そうなものをいくつかピックアップしました。

Q.やりたいことが見つからない学生はどうやって仕事を選べばいいのでしょうか?

A.さっきの6つの判断基準のなかで重要視しているものに気づいたら、仕事も絞れてくるよ!自分が何が好きでこれをどんな業種・会社に活かせばいいかわからないという場合でも、6つの判断基準に埋め込んでいたらかなり絞られるよ。

Q.学生の間しかできないことってなんですか? 

A.学生の間しかできないことってあんまりないと思っていて、あえてあげるなら交流場で色んな人とコミュニケーションをとること。ここ(ゼロイチCafe)みたいな場所やビジネスコンテストとかで。社会人や他大学のひとなどさまざまな人と接点を持つということは早いうちから始めるといい。

最後までお読みいただきありがとうございました。河合さんは「大企業とベンチャー」だけでなく最近のキャリアの築き方や専門性の身につけ方についてなど様々なお話をしてくださり、書ききれなかったこともたくさんあります。とても有意義な勉強会となり、

「大企業のメリット、ベンチャーのメリットを詳しくしれて良かったです。」

「仕事を選択するにあたっての、思考の軸がわかりすごく勉強になった」

「すべての悩める就活生に知って欲しい内容でした」

などの感想が寄せられました。


執筆者

豊田玲奈 ゼロイチCafeスタッフ 慶應義塾大学2年 

非技術系の勉強会を担当しています豊田です。戦略マーケティングや行動経済学に興味があります。最近、ゼロイチCafeの Instagram も活用し始めました!インスタグラマー目指して頑張っている最中です。

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